あゆみ 2014年7月
バリー・ケンズ神父
ケンズの現代のたとえ話です。
オーストリアアルプス地方の花々を熱心に採集している植物学者がいました。ある日、彼はいつものように、狭い今にも崩れ落ちそうな崖道を足もとに気を取られながら登っていました。フト足元の下をのぞくと、まだ見たこともない美しい小花が一輪咲いているではありませんか。
彼は、ぜひこの花をコレクション加えたい・・・学会に発表して世間の人たちに知らせたいと思いました。しかし、その花は山道より三メートルも下の崖の途中、岩の間に咲いているのでとてもとることが出来ません。

翌日、彼は四才になる自分の娘を連れて、またその場所へやって来ました。彼は自分の娘にナイロン・ロープを腰から背にかけて縛りつけ、しっかり結んではずれないようにしました。しかし、慎重に気をつけながら娘を崖からつり下げはじめました。
ゆっくりロープは長くなり、その子は数百メートルもある深い谷の中に、たった一本のロープに縛られて、ゆらりゆらりとおりて行きます。一人の登山家が山を登って来ました。
彼は小さな女の子が、たった一人の支えるロープに縛られて宙づりになっているのを見て驚き、声も出せずその光景を見守るばかりでした。やがて、女の子は手に小花を握りしめて、父親に引き上げられ崖の上にもどって来ました。
ホッとした登山家は、女の子に近づいて声をかけました。「お嬢さん、こんなに深い谷に宙づりにされてこわくなかったかい」「ちっとも、こわくなんかなかったわ。だって、パパがローブを持っていたんですもの」人生の途中、私たちは何度も危険な場所に宙づりにされているように感じることがあるでしょう。その時こそ、「私たちのアッパ」を信頼しようではありませんか。
アッパは、いつも私たちを心にとめ、そして、私のロープをしっかりと握りしめていてくださるのですから。
