幼きイエスのテレジア

あゆみ 2014年10月

私たち共同体の保護の聖人は幼きイエスの聖テレジアで祝日は10月1日です。
同じように横浜教区の小田原、磐田、富士吉田の教会もそうです。
聖テレジアは聖人として特別だと思います、というのは彼女の生活は私たち平凡な人間にとって模範だからです。

イエス様と親しくなるために厳しい苦行や固い禁欲はいりません。
彼女の生活は別世界のようなものではなかったからです。
1873年フランスで生まれて4歳の時にお母さんが亡くなり、その後修道院に入るまでリジューに住んでいました。テレーズ・マルタンという名前で5人姉妹の末っ子でした。

聖テレジアの生き方は「小さき道」と呼ばれています。
その意味は特に熱心でもない普通の人、つまり私たちのためです。
聖テレジアの「小さき道」について考えましょう。
「わたしはあなたがたを友と呼ぶ」(ヨハネ15・15)
「神の御心を行う人こそ、わたしの兄弟、姉妹、また母なのだ」(マルコ3・35)
大事なのは、イエス様とのあたたかい親しみなのです。
私たちは人生の道の中で喜びと成功があったら、その友であるイエス様に「ありがとう」と言いましょう。それが「小さき道」のやり方です。
けれど人生の道の中で悩みと苦しみにもぶつかります。
ある人は大きな苦しみ、例えば酷い痛みとか大きな病気を経験するような、人はそれぞれ大小にかかわらず苦しみをもっています。

聖テレジアの「小さき道」の教えは次のようです。
イエス様の苦しみを思い出して深く考えて自分の苦しみと一致させることです。
そのようにしたらイエス様から勇気と励ましを受けて親しくなれます。
イエス様は本当に本当の人間の状態を経験なさいましたから、私たちが苦しい時こそ「わたしはあなたを友と呼ぶ」と言われます。
私たちは時々小さな苦しみに気づかないまま我慢しています。
聖テレジアによれば、それはもったいないこと、小さな苦しみをとおしてもイエス様と親しくなりましょう。

では、聖テレジアの生涯から、ある具体的な例を考えてみましょう。
修道院のあるシスターが、お聖堂の裏のひざまづき台で静かな祈りをしている時に歯ぎしりの音を聞いてテレジアは汗が出るような緊張を経験しました。
けれども祈りを終えたシスターを廊下で見かけたときには厳しい顔ではなく微笑みに満ちていました。
もう一つの例は修道院の食事を準備するシスターが元気で若いテレジアを疎み一番粗末な食事を出しました。しかしテレジアは不平を言わずに食べました。イエス様といっしょです。

テレジアの修道院の中には3人の実の姉妹と従姉妹もいました。
あるシスター達は妬んで彼女たちをマルタン派と呼びました。
そのため末っ子であるテレジアは、いじめのような態度を受けました。

テレジアは修道院の院長から修練者の世話をする係りを命じられましたが修練長という立場にはしてもらえませんでした。
時には仲間のシスターに頼まれて彼女たちのために詩を作ることもありました。
テレジアは自分の都合も忘れて詩を書きました。

テレジアにとって大きな苦しみは精神を病んで入院している父の事。また姉であるレオニ一が落ち着かず、どの修道院に入会しても発疹が出てしまうことも大きな心配でした。

テレジアは23歳の時に肺結核を発症しました。
医者から健康のために少しでも散歩するようにすすめられましたが、テレジアにとってそれは非常に苦しかった。そんな時テレジアは、私の一歩一歩は遠いアジアで働いている宣教師のためだと言いました。
けれども結核菌はテレジアの身体中にひろがり、生活は病室のベッドの中に制限され苦しかった。そのうえ高熱を出した時に医者に熱い湿布をされてやけどをしました。結核のため呼吸も苦しく便秘も苦しかった。

ある時、あまりにも酷い痛みのため、痛み止めの薬をベッドから遠くに置くように頼みました。自殺の誘惑があったからです。
ちょうどそのとき辛く苦しい霊的な空白の暗闇にはいりました。
信仰に対する疑い、死んだ後の永遠の天国に対する疑いも経験しました。
しかし、この苦しみにもかかわらず彼女の心は根本的に希望と平和でした。

24歳の時、9月30日午後7時ごろ約117年前に自分の十字架を見つめながら「主イエスよ、私はあなたを愛します。」と言って平和の微笑みを浮かべて亡くなりました。聖テレジアがイエス様の道、信頼の道を歩んだことは、私たちのために大きな励ましになると思います。

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