広報誌あゆみ 2015年7月号
バリー・ケンズ
10年ほど前、横浜の関内にあるYMCA専門学校で講師をしていました。
私が受け持ったクラスは、老人ホームや知的障害者の施設で働きたい人が介護福祉の資格を取るために勉強する2年間の専門学校で、男女合わせて30名ほどのクラスでした。そこでキリスト教概論の授業を10週教えました。そのような福祉施設は、キリスト教系が多くあります。
30名の中に信者は一人もいませんでした。しかし、二人だけキリスト教系の幼稚園で学んでいました。
学期の終わりに試験がありました。
私があたえた5つの質問の中の一つは「自分の聖書を開いてルカ福音書10.25~37まで (善いサマリア人のたとえ) を読んで現代の背景にあてはめてください」というものでした。
一人の生徒の答えは、とても印象深い素敵な話でした。
私は、彼のことをよく覚えています。
最初の頃は、髪の毛をグリーンに染め逆立てて、耳に大きなイヤリングを付け派手な感じでしたが、その試験の頃には、落ち着いた雰囲気になっていました。そして次のような答えを書きました。
「私は中学校時代、非常に苦しかった。なぜなら私は背が低くて、目が悪く厚いレンズのメガネをかけていました。それだけでなく緊張するとドモリになってしまったので、だいぶ虐めを受けました。ある時には担任の先生までが私のドモリを真似しました。お昼休みには人のいないところに行ってお弁当を食べました。ある日、一人のクラスメイトが私のところまで来てそばに座りました。最初は黙って何も言いませんでしたが 彼の同情はしみじみと感じました。彼はやっと言葉を言いました『私は韓国系です、虐めをよく経験しました。勇気を出していっしょに頑張りましょう !』その時から私は癒された感じで自信がわいてきました。彼は私のための善いサマリア人でした。聖書の中でイエスは言われています。「行って、あなたも同じようにしなさい」と彼の親切のおかげで私は福祉施設で働き、かわいそうな人を慰めたいのです」
追記
私、ケンズは彼の試験を学長に見せて100点の理由を説明しました。