広報誌あゆみ 2017年1月号
司祭 バリー・ケンズ
イエス様は、「ごらんよ、空の鳥を」とおっしゃいましたので、今回は雁という鳥について考えてみましょう。雁は日本では晩秋シベリアから飛来し、翌春に再び北方のシベリア方面に帰っていきます。種類はとても多く、かり、かりがね等の呼び名があります。
雁は長い長い距離をV字型の編隊を組んで飛びます。科学者は雁が V字型に飛ぶ理由を見つけました。前の雁の羽根の羽ばたきは、後の雁のために持ち上げる空気を作ります。この持ち上げる空気のおかげで、一羽で飛ぶよりもV字型で群をつくって飛ぶ方が、71%長い距離を飛ぶことができます。一羽一羽の雁は全部の群れの助けになり、力となります。
私達の信仰の共同体の群は、皆同じ目的地を持っています。私達は皆イエス様の道を歩んでいます。もし共同体の一致の心を持ったなら、一人一人その道をたやすく歩むことができます。信仰は共同体のものです。私達はその信仰の道を歩んで、お互いの励まし合いは大事です。各信者は全部の群の人々の助けになり、力となります。」
編隊を組んで飛ぶV字型の一番先に飛ぶ雁は、疲れてくると編隊の先から真中に入ります。別の一羽が交代して先頭にたちます。各鳥は一羽一羽リーダーとしての責任をとります。各雁は一羽一羽お互いに頼り合っています。
「信仰の共同体の群の中からの力がかかる責任から逃げないで、喜んで責任を受けましょう。私達は誰でも身分に応じて、各才能を使いましょう。共同体の中のリーダーというのは、そのひとのための権能 名誉 地位ではなくて、イエス様と同じように他人に仕えることです。共同体の信者一人一人が責任をとって、お互いに頼り合って信仰の道を歩みましょう。」
「私達共同体の信仰のリーダーに励ましを与えましょう。信仰の群の中でお互いに感謝を現すことは大事だと思います。心からの感謝です。そうすれば喜びの雰囲気ができて来ます。感謝の表現は、われわれは貴方と一緒ですという意味です。」もし雁の編隊のなかで一羽の雁が病気になって、その編隊からぬけると、二羽の雁は一緒になって、その病気の雁のところにいきます。そして病気の雁がさびしくならないように励ましを与え元気になって再び飛ぶことができるまで一緒にいます。
「私達はイエス様の共同体の信者として、誰か病気になったら、その人を大事にしましょう。これは義務的な見舞いではなくて、イエス様の兄弟姉妹としての見舞いです。私達は皆イエス様と結ばれた本当の意味での兄弟姉妹です。皆同じ父である神様を持っています。イエス様は、ごらんよ、空の鳥をとおっしゃいました。私達は自然から習うことができて、また雁の飛び方からも習うことができます。
皆さん、一緒にイエス様の道を歩みましょう。そして本当の意味での共同体を考えましょう。
パパ、手伝おうか
ハヤット神父

ある休みの日に、次郎は家のわくを塗り直すことにした。はしごにのぼってペンキを塗り始めた時、五歳になる息子がやって来て「パパ、お手伝いしょうか」と聞いた。この仕事は小さい子供には難しすぎるので、次郎は「遊びに行っといで」と言おうとしたが、「ああ、頼む。はしごを押さえてておくれ」と答えた。
少年は、はしごをつかみ、力いっぱい押さえた。しばらくすると、父は別のことを頼んだ。「すみの方を塗るのに小さいブラシがいるんだ。取って来てくれないか」次郎は自分の方が早く取りに行けたが、息子が持ってくるのを待った。
戻ってきた少年は、また、しっかりはしごをつかみ続けた。今度は、はしごを別の窓へ移すこととなった。子供がはしごを持っていると動かしにくいが、子供は手伝うと言ってきかない。
この後にも台所へ行く用事があった。窓を拭く布が必要だったり、喉が渇くと次郎は水が欲しいと言ったりした。そのたびに少年は喜んで用事をはたし、帰ってくるとはしごを押さえる仕事を続けた。彼は自分がいなくてもはしごは絶対に大丈夫だなどとは思いもしなかった。
塗り終えると次郎ははしごから降り、手を拭いて塗れたばかりの窓を見上げてしばらく立っていた。そして「二人はかなりうまくやったね」と言った。少年は誇らしそうにほほえんで答えた。「うん、二人でやったんだね」
この日、次郎はペンキ塗り以上のことをした。彼は、息子が必要な人間であることを教えた。また、責任ということと、仕事がよくできた時の喜びについても教えたのである。
「心のともしび」から 掲載の許可を得ています