四旬節の祈り

広報誌あゆみ 2017年4月号

古代教会のある信者たちは巡礼でエルサレムへ行って、イエスの受難の足跡をあらたに踏みました。けれども一般の人たちは違いエルサレムまで行くことが出来ませんでした。そのため西暦1000年頃小教区の聖堂の中に十字架の道行きの画や彫刻を置きました。13世紀から14留の数を決めてフランシスコ会の特別な運動になりました。

十字架の道行きの祈りは小さな巡礼なのです。その巡礼は、私たちの人生の道のシンボルなのです。ですから、この祈りは今の私たちと深い関係があります。と言うのは、イエスは同伴者として私たちの人生の道を今一緒に歩んでくださいます。苦しみは、その道の一つの部分です。聖書の言葉「キリストは私たちのために苦しみを受け、その足跡に続くようにと模範を残された」この祈りの中で私たちは、イエスの苦しみそのものよりも、その苦しみの裏側に私たち一人一人のためのイエスの深い愛を強調します。

聖書の言葉「主イエスは、わたしたちを愛し、わたしたちのためにご自身を捧げられた」(ガラテア2.20)
イエスのあたたかい愛をあじわうことが、十字架の道行きの一番の目的です。したがって私たちは、その愛を隣人と分かち合うことです。

私はこの記事の中で5つの留について書きます。

第1留「イエスは死刑の宣告を受ける」ピラトは、イエスを裁判官の台の上に一人ぼっちで立たせて「見なさい、この人を」と言いました。私たちは、そのイエスを見ましょう。鞭うちの傷、いばらの冠、それは身体の痛みです。
心の痛みとしてまったく一人ぼっち、恩知らずの群衆は大きな声で叫ぶ「殺せ!殺せ!」「十字架につけよ!十字架に付けよ!」
イエスは本当の人間だから群衆の恩知らずさをしみじみと感じました。私たちは寂しさを感じるとき、人から厳しい言葉を受けるとき、この場面を思い出しましょう。イエスは、本当に同伴者として励ましと慰めを与えてくださいます。

十字架の道行き14留の中でイエスは3回倒れます(第3留、第7留、第9留)イエスは神様です、同時に本当の人間として私たちと同じように人間的な弱さを経験なさいました。ですから、今もわたしたち人間と近い方、いっしょです。本当の同伴者です。

私の考えですがイエスの倒れたことよりも苦しみを受け疲れ果てたうえ立ち上がったことの方が感心します。
立ち上がるには随分と勇気が必要だったと思います。イエスは弱い私たちのためにうえから勇気を与えてくださいます。頼みましょう。

この倒れた場面を考えると次にあげる聖書の箇所が生きると思います。「大祭司イエスは、わたしたちの弱さに同情できない方ではなく、罪を犯されなかったが、あらゆる点において、わたしたちと同様に試練に遭われたのです。だから、憐れみを受け、恵みにあずかって、時宜にかなった助けをいただくために大胆に恵みの座に近づこうではありませんか。」(ヘブライ人415~16)
この場面を心の中で描いて遠慮せずイエスに近づいて自分の弱さ、悩み、苦しみ、失敗をイエスの前に全部さらけ出しましょう。

第6留ベロニカは、イエスの顔を布で優しく丁寧に拭いてさしあげました。この場面は聖書に載っていませんが、非常に古い言い伝えなのです。この場面の雰囲気をあじわいましょう。十字架を背負っているイエスの周りはローマの占領軍の厳しい兵隊です。そのうえ、イエスを批判するユダヤの長老たちも大勢います。一般の群衆の中から、ベロニカはイエスの血まみれの顔を見てイエスに対して憐れみ、しみじみと共感しました。
彼女は勇気を出して前に出て優しく丁寧にイエスの顔を拭いてさしあげました。イエスは彼女の優しさを経験して励まされたと思います。
私たちが人に親切にすることは、ベロニカがイエス自身にしたことと同じようです。

「はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである」(マタイ2540)
ベロニカ(veronica)という名前はveroの意味は「本当の」iconの意味は「姿」
ベロニカはイエスと同じように優しい憐れみ深い心を持っています。イエス様の心と本当の姿です。ベロニカは私たちの模範なのです。
この四旬節の間、イエス様の苦しみについて考え祈りましょう。この苦しみは、2000年もずっと前のものではない現代の私たちのためです。

私たちは聖パウロと同じように言うことが出来ます。
「キリストは、わたしを愛し、わたしのためにご自身を捧げられました」(ガラテア2・20)

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