わたしたちは牛10頭

広報誌あゆみ 2017年6月号

これからアフリカの知恵に満ちた伝説から習いましょう。日本の伝説と同じように面白さの裏に大事な教えがあります。
大昔、アフリカのある部族の中では結婚する前に新郎新婦の家族で大事な話し合いがありました。
それは、日本でいう結納金についての話し合いです。特に花嫁のお父さんは自分の娘の結納金をどのくらい希望したら良いのか決めなければなりません。その時代、この部族の結納金とは牛でした。
そして、一番高額とされる結納金は牛10頭と定められていました。けれど、どんなに美しく料理やお裁縫が上手で器用なお嫁さんでも8頭、一般的なお嫁さんで3頭から7頭まででした。そして結婚するとその部族では、「あの人は3頭のお嫁さん」「あの人は7頭のお嫁さん」と言いました。

その部族のあるお父さんの娘は、美しくもなく不器用でした。部族のみんなが彼女のことを考えて「結納金は牛1頭だ」またある人は皮肉で「その1頭も老牛でじゅうぶんだ」と言いました。
ある男が、その娘に出会って「どうしても彼女と結婚したい」と望みました。そして家族同士の相談になり、花嫁のお父さんは、日ごろの娘の評判から牛1頭を結納金として望みました。すると花婿の男は「とんでもない!」と強く断りました。そのかわりに牛10頭を申し出ました。みんな非常にびっくりしました。

あとで、花婿の友人が「どうしてそんなに寛大な驚くほどの結納金を?」と彼に尋ねました。彼は「私の彼女に対する深い愛と尊敬を示したかったのです、私にとって彼女は大事な貴い存在です。だから私のすべてを捧げます」と答えました。この10頭のお嫁さんは彼の家族の愛によって成長して幸せなお母さんなり部族の中で一番心の美しい人になりました。

みなさん、この伝説の考え方は、わたしたちの父なる神様の考え方です。わたしたちは、父である神様のみ前において美しく貴く愛された子供です。一人一人をありのままに受け入れて深く愛しておられます。父なる神様は、ひとり子イエスを私たちのためにお与えになりました。

イザヤ書(43:1-5)
わたしたちを造られた主、神は今、こう言われる。

「恐れるな、わたしはあなたを購う。あなたはわたしのもの。わたしはあなたの名前を呼ぶ。わたしは主、あなたの神あなたの救い主。わたしの目にあなたは価高く、貴くわたしはあなたを愛している。恐れるな、わたしはあなたと共にいる。」

このイザヤ書を考えましょう。父なる神様は子供のわたしたち一人ひとりを深く愛しておられます。その愛の深さを理解して応えましょう。
その愛の中に包まれて従って他人とその愛を分かち合いましょう。これはイエス様の道の中心の中心です。
皆さんアフリカの伝説の背景の中でイザヤ書の箇所を5分間の沈黙のうちにイエス様と一緒にかみしめてあじわいましょう。わたしたちも深い愛の中で信者として人間とし
ても成長しましょう。
わたしたちは神様のみ前で牛10頭なのです!


「あの人は生まれ変わったのだ」としか言いようのない経験をする人が、時々ある。もちろんそれは、その人の人生観を根本的に変えてしまうような事態にぶつかった時に起こるものである。

この「生まれ変わり」の機会が最もよくみられるのが、長い闘病生活のあとだ。患者は、何ヶ月も寝たっきりで、食べさせてもらい、おふろに入れてもらい、何から何まで人手にたよらなければならなかった。しかし、良くなり始めると、自分の足で立ち、自分の手で働けるようになる。言うなれば、命を得て、患者は生まれ変わったのである。

心理的に言って、人が恋に陥った時、同じような生まれ変わりの気持ちを味わうものである。ある若者にとって、一人の若い女性に会うまでは、生活は退屈でつまらないものであった。ところが恋をした瞬間、すべてが変えられた。彼女が彼の人生に投げかけてくれた輝ける光は、彼の心の中で燃え、彼は新しい生命をえて生まれ変わったのである。

しかし、このような「生まれ変わり」を最も強く感じるのは、宗教ににおいてである。信仰の光が初めて人を照らし始めると、生活の最も深い部分が変えられる。今まで物質であったかしれない人生観は、信仰の光のうちに精神的となり、身体だけしかないように生活していたのが、今では霊魂の生活へも注意を向けるようになる。
人が初めて精神生活の美しさを発見した時、なんともいえない爽やかな気持ちを味わう。彼は病気の人が回復したかのように、また若者が恋をしたかのように感じる。
再び生まれ変わったのである。

「心のともしび」から 掲載の許可を得ています

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