広報誌あゆみ 2017年11月号
司祭 バリー・ケンズ
今月の『あゆみ』のために現代的なたとえ話を伝えたいと思います。
ある日、横浜の会社員3人が渋谷で行われた会社関係のセミナーに参加しました。
おもしろいことに3人ともキリスト教信者でした。
セミナーの終了は、4時の予定だったので5時半ごろ帰ると奥さんに伝えましたが、セミナーは延長になって5時まで続きました。3人とも遅くなってしまったので駅まで一生懸命走りました。ちょうど駅前の広場まで来ると、そこでは青年が台の上に手作りアクセサリーや装飾品を並べて売っていました。3人の会社員は遅くなってしまっていたので不注意でその青年の台に次々とぶつかって台の上の商品をまき散らしてしまいました。けれど3人は電車に乗り遅れると思って止まりませんでした。息をあげながら横浜行きのホームに着くと電車到着まで3分の時でした。
そのとき、会社員の1人が先ほどの出来事を思い出して、困っている可哀相な青年の顔を思い浮かべました。会社員は他の2人の友達に「私は、ちょっと用事を思い出したので先に乗って帰ってください」と言いました。そして先ほどの青年がいた広場に戻ってみるとびっくりしました。なぜならアクセサリーを売っていた青年は目の不自由な人だったのです。また小さなプレートには教会系の障害者作業所で作られた物だと書いてありました。会社員は、自分たちのせいでまき散らしてしまった商品を拾い集め片づけましたが中には壊れて売り物にならないものもありました。会社員は、その商品に付いていた値札を計算してその値段以上の2千円をさしあげました。また会社員は、目の不自由な青年にお詫びをして励ましの言葉をかけました。
青年は、心から「ありがとうございます」と言って少し考えた様子をしてから、おもしろい質問をしました「あなたはイエス様ですか?」会社員は、その質問にびっくりしました。会社員は帰りの電車の中で青年の質問を思い起こすと、とても心に響きました。私はイエス様のような行いをしましたが善きサマリア人のたとえ話のようでしょう。
そして私はイエス様の言葉に出会い思い出しました。
「私の兄弟であるこのもっとも小さい者の1人にしたことはわたしにしてくれたことなのである」マタイ 25:40

そして会社員は奥さんと子供にあたたかい心をもって家に帰りました。それからは忙しい毎日の中でもイエスに出会ったことで人生に深い味わいを感じるようになれました。